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文通によって生まれるもう一つの回路

手紙のいいところ②

 

私は、離れて住んでいる友人はもちろん、ほぼ毎日大学で会う人や、同じ建物や徒歩5分圏内に住んでいる人とも文通をしています。

手紙は、電話やLINEと同じく、直接会って話すことの代替と思いがちです。しかし、直接の会話にはない、手紙を媒介するからこその距離感が生まれ、文通によって関係が再構築されていくような感覚があります。便箋に向かって、ペンを走らせながらじっくり考える時間というのは、相手のこと、自分のこと、ふたりの間にある関係について、客観的にみることができます。生身で一緒にいる時には見えていなかった相手のいいところや、その場ではうまく言い表しがたい自分の感情、自分が本心で相手に求めていることなど、書きながら気付いたりすることが結構あります。そして、読む側にとっても発見がたくさん積み重なっていきます。

会えない人とのコミュニケーションの代替としても、もちろん文通は楽しいですが、いつも近くで過ごしている時間が多い相手との関係を一歩外側から眺め、逆に自分と全然違う意見を持った相手と冷静に向き合うことができるメディアでもあると思っています。いつものコミュニケーションに加えて、もう一つ回路が作られるのです。