MENU

手紙8

どうも。だいぶ飽きてきましたよね。私もこの話書くの飽きてきました。もう一ヶ月経ってしまって記憶が薄れているし。頑張って読んでください。夢を見た話です。

バスに乗って、京都芸術大学内の春秋座という劇場に向かいます。バスって、結構走行音がうるさくて、隣に座ってる友人と喋ろうと思ってもなかなか声が聞き取れないんですよね。なので適当に「う〜ん」とかって相槌を打ってしまいがちです。被害者のみなさまいつもごめんなさい。

会場に到着しました。受付まで行ったところで、友人がチケットを出そうとしていたので、私は「あ、紙のチケットにしたんだ、私は予約番号が記載されたメールかなんか提示すればいいんだっけ」と思ってスマホを開こうとすると同時に、「京都芸術大学」という判が押された白い封筒が頭をよぎりました。500km離れた自宅の玄関に置いてあります。ここまでどうしようもないと、諦めるということがこんな一瞬で簡単にできるのことなのかと我ながら感心しました。一瞬で諦めがついて開き直っていた私は、2000円の当日券を買い直すつもりでいましたが、幸運にも、窓口で名前を伝えて再発行してもらうことができました。友人が新幹線に乗ってきたとき、「チケット忘れそうになっちゃったんだよね〜笑」と言っていたので、私は、新幹線のチケットのことかと思い、あはは、とこれもまた適当に相槌を打って済ませていたのですが、この時やっと意味がわかりました。

私たちは『事件』というのを目撃しました。そこでは、スーパーでの日常的な光景が狂ったように何度も何度も繰り返されました。ここで観たものが狂っているのではなく、私たちの日常の方が狂っているのだということを思い知らされます。

上演が終わって20時を過ぎていました。夕食をとろうにもお店がどこも閉まっているので、バス停近くのコンビニでおにぎりを買って、川沿いにあるベンチで食べました。2021年5月の京都の夜は真っ暗でした。21時半になり、夜行バスが来たので乗り込みました。人生初の夜行バスです。新幹線と同じくらいの座席を想像していたのですが、思っていたよりも窮屈そうでした。あとの記憶ははっきりしていませんが、とにかく時間が長く感じられました。足を抱えて裏腿を伸ばしてみたり、苦し紛れに寝返りを打ったりして、何回も姿勢を変えながら浅い眠りの中を耐えたことは覚えています。

東京に着きました。朝5時の東京は人の気配がなくて、なんだか清々しいと思いました。

以上が、京都へ行って東京に戻ってきた一瞬の出来事です。