会社に入って1ヶ月と少しが過ぎた。時代の流れもあってなのか、もともとこの土地の性格なのか、寛大な大人たちに恵まれている上に、海や緑の匂いで季節の変化を細やかに感じる日々が心地良い。
大学生の頃、カフェで「私、資本主義向いてないと思う」と友人と話していたら、隣で新聞を読んでいるおじさんに鼻で笑われた気がしたのをいまだに引きずっている。行き過ぎた新自由主義とか、個人の尊厳がやたらと生産性に回収されてしまうのは今でも問題視しているけれど、優等生でやってきた自分は成績上げゲームは得意で、会社という組織でビジネスゲーム攻略法を勉強するのを結構楽しんでいる。大学生の頃の自分には信じられないだろうけれど。
一方で、家では相変わらず友人とリモート読書会を続けている。週5で毎日8時間一緒の空間で過ごしている同じ会社の人たちは、私が家で読んでいる原広司やエドワード・ショーターのことを知らないし1mmも関係ないのだと思うと、私は一度に2本の人生を並行しているような気がしてくる。これまでは、生活も思考も人間関係もひと続きだったから、本当に不思議な気持ち。
同じ会社の制服を着て車で通勤している人の車種を見ては、彼らは会社人としてまっすぐ人生を歩んできたんだな、というふうに見えてくる。この制服でこの車に乗ることを選んだのだなぁ、みたいな。たぶん私も、この会社で1本の人生を歩んでいるように見えていると思う。
私は一足目のわらじがアートプロジェクトで、会社は二足目のわらじだと思っている。一足目のわらじは、金銭を稼ぐというよりは、人間関係を繋いでいくためのものだと思っている。今初めて文字にしてみたけれど、面倒くさがりな割に休日に出掛けていろんな人と会ったり友達になったりできているのは、やはり、わらじ効果かもしれない。就活を始めた頃から、専門に学んできたことを仕事にしない理由を問われることが多かったのだけれども、二足のわらじは二足ともお金を稼がなくてもよくて、でもちゃんと自分のわらじとして履いてますよ、と胸を張って言えればよい気がしますね。
あと、カッコつけてきたけど、もっと話しかけやすい人間になろうと思った。