本を8ページだけ読んで読書感想文書く③
中沢けい著『楽隊のうさぎ』(pp.10~17)
※まじで8ページしか読んでないので、その後の展開は知りません。
「何があっても毅然としていればいいのよ」と母親の百合子は言う。
自分でも毅然とした態度でいられる人間でいたいと思ってはいる。
克久は、心を灰色に塗り固めることで自分を守っている。何も考えない。何も感じない。そうすれば大丈夫。
目の前まで迫ってくる暴力を、斜めに逃すようにして、護身する。正面から押し倒そうなんてことはしない。最低限のエネルギーを使って、相手の力を逃してやる。そうすれば、傷つかないし、疲れない。その時は。
心の中で、軽蔑の眼差しを向けるか、開き直るかして、なかったことにしようと頑張る。ビンの中に押し込んでおいて、蓋を力いっぱい閉めておく。で、放っておくと、時々、爆発する。入りきらなくなっていて、溢れ出てきてしまう。
溢れ出てきてしまった破片たちを一緒に片付けてくる人がたまに現れたりする。毅然とした人である。
自分が毅然としていられない分、毅然とした人は助けてくれる。助けてくれるというのは甘えすぎかもしれない。
守ってくれる人もいれば、心を軽くしてくれる人とか、ヒントを提示してくれる人とか、背中をさすってくれる人とか、連れ戻してくれる人とか、いろいろ助けられている。
私は毅然とした人に守られている。私も誰かにとっては毅然とした人になり得るかもしれない。