MENU

直接言えないシリーズ「カメラオン」

言いたいことは直接言うべき、が最近ただの綺麗事になってきた。その場の空気とか、相手や周りとの関係とか、そっちを優先してしまう。SNSや第三者を媒介して文句言ってる人がいると、いや直接その人に言えばええやん、と思ってたけど、それができないときもある。言い方さえ工夫すれば、嫌じゃない感じで直接伝えられるだろうけど、なかなか難しい。でも溜め込むのも良くないので、とりあえず今はここに書いておく。

今さらだけれど、オンライン会議でカメラオンにすると、身体が拘束される。私は家で過ごす時、部屋を歩き回ったり、椅子にあぐらをかいたり、ソファに横たわったりする。オンライン会議では、みんな大人しく正面を向いている。学校みたいだ。みんながみんな大人しく座っているので、自然と空気を読んで、自分もそうする。しかし家の中であって、学校ではない。すると、家の中で自由に動き回ってた身体が、途端に緊張せざるをえない。そして、家の中での自分が、家の外に放たれてしまわないか常に心配しなければならない。家の中での自分は、外での自分と比べると不完全である。(という感覚なので、家に他人がいたほうが、無駄や欠陥を最小限にできる。家の外がそのまま家の中に接続される感じ。)オンライン会議は、家の中にいながら、家の外の自分をわざわざ作り上げて維持しなければならないので、外にいるとき以上にエネルギーを必要とする。集中力も切れる。

あと、自分の正面がフレーム内に切り取られ、自分が常に客体化されている状態が続くのが、気持ち悪い。写真なら一瞬我慢すればいい(写真も苦手だ)けど、それを会議が続く限りずっと耐えなければいけない。家の中の自分が、家の外に放たれないか心配するのと同様に、自分の正面の完璧でない瞬間が切り取られ残っていくことを恐れている。逆に、完璧な自分しか残らないのであれば、写真も動画もむしろ積極的に撮られたいと思うので不思議だ。(楽器を演奏しているときの自分は最も完璧、あと服のコーディネートを完璧に組めた日とか)

どうすればいいんだ。空気を読むことから逸脱したい。そして完璧であろうとすることをやめたい。と思っているのに、空気を乱さぬコミュニケーションが完璧にできないから、溜まる一方。空気を読まなくていいのなら、カメラオンで普通に部屋をうろうろしたり、あぐらをかいたりする。完璧でなくていいのなら、PCとの距離を気にせず画面を間近で覗き込む。